ホームページの文章を AI で整える。サービス紹介に使う画像を AI で作る。そうした使い方を考えたとき、「見た人に AI で作ったと分かったら、会社の印象が悪くなるのでは」と気になることがあるかもしれません。
今回確認した広告や店頭販促物の調査では、AI 制作物への反応は一様ではありませんでした。好意的な回答もあれば、条件が整えば受け入れるという回答もあります。
ただし、これらの調査だけで、AI で作ったホームページが信頼されるかどうかを判断することはできません。 広告への印象と、企業サイトを見て依頼先を選ぶ判断は、分けて考える必要があります。
この記事では3つの調査を読みながら、自社のホームページで AI を使うときに、何を確認するとよいかを考えます。
AIらしいと感じても、印象が悪くなるとは限らない
株式会社 SPinno/それ行け!販売促進部は、2026年10月に店頭販促物についての調査を公表しました。対象は、生成 AI を知っており、月2〜3回以上実店舗を利用する23〜65歳の男女224人です。
このうち、店頭のポスターやメニューなどを見て、AI で作られたのではないかと感じた経験のある146人に、企業・店舗への印象を尋ねています。
| 印象の変化 | 回答割合 |
|---|---|
| 良くなった・どちらかといえば良くなった | 37.7% |
| 変わらなかった | 40.4% |
| 悪くなった・どちらかといえば悪くなった | 21.9% |
好印象が悪印象を上回っていますが、最も多かったのは「変わらなかった」という回答でした。
注意したいのは、実際に AI が使われていたかを確認した調査ではないことです。回答者が AI 制作だと感じた経験と、そのときの印象を尋ねています。AI で作った販促物を見せ、人間が作ったものと比較した実験ではありません。
「条件が整えば使ってよい」と、積極的な歓迎は違う
日本インタラクティブ広告協会 (JIAA) は、2026年8月にインターネット広告に関する調査結果を公表しています。対象は、ほぼ毎日インターネットを使う全国の15〜69歳で、有効回答は3,591人でした。
AI を活用した広告について、52.0%が「条件が整えば活用してよい」と回答しています。一方、「積極的に活用すべき」は4.3%でした。
また、受け入れやすくなる条件として、AI を活用していることの明記を選んだ人は37.6%でした。
ここから「AI 広告は歓迎されている」とまとめると、回答に含まれる条件を落としてしまいます。利用を認めることと、その制作物を好ましく感じることは同じではありません。
先ほどの SPinno は、AI 制作だと感じた店頭販促物についての印象を尋ねています。JIAA は、ネット広告で AI を活用することへの考えを尋ねています。割合だけを並べても、どちらで AI が受け入れられているかは比べられません。
作る側の予想と、見る側の回答にも差がある
米国の広告業界団体 IAB が2026年1月に公表した調査には、制作を考えるうえで気になる結果があります。
調査対象は、広告に接する米国の16〜43歳の消費者505人と、一定規模以上の広告費を扱う企業の広告業界幹部104人です。
広告業界幹部の82%は、若い消費者が AI 生成広告に好意的だと予想していました。しかし、消費者自身が好意的だと回答した割合は45%でした。
この82%は、消費者は好意的だと考えた業界幹部の割合です。「消費者のうち何%が好意的か」を予測した値とは区別して読む必要があります。
米国の若年消費者と広告業界を対象とした調査なので、日本の企業サイトでも同じ差が出るとは言えません。それでも、制作側の予想を、そのまま受け手の評価として扱わないための参考になります。
この調査をホームページ運営に引き寄せるなら、「短時間で作れた」「見栄えよく仕上がった」という制作上の評価に加え、訪問者が内容を理解できるか、事実を誤解しないかを確認する、という使い方が考えられます。
広告への好印象から、ホームページの成果までは分からない
ここまでの3調査は、広告や販促物に関する意識や印象を尋ねたものです。企業サイトの AI 利用を切り替え、信頼や問い合わせの変化を測ったものではありません。
好印象、AI 活用への賛否、購入や問い合わせをする意向、実際の行動は、それぞれ異なります。広告に好印象を持ったという回答から、問い合わせが増えるとは言えません。
また、国内の店頭販促物と米国の広告では、接する場面も調査対象も違います。結果の違いを、日本人と米国人の性質の違いだけで説明することもできません。
今回の調査は、AI を使えば信頼される、あるいは信頼を失うという結論の根拠にはできません。 自社のサイトでどう使うかを検討するには、掲載する内容をもう少し具体的に見る必要があります。
自社サイトでは「何を事実として伝えるか」を確認する
ここからは、広告調査で実証された効果ではなく、ホームページを運用する際の確認方法を提案します。
AI を使う工程を、文章の校正、装飾の制作、商品や人物の表現などに分けてみます。そして、それぞれが訪問者に何を伝えるかを確かめます。
| AI の使い方 | 公開前に確認したいこと |
|---|---|
| 自社で書いた原稿の校正 | 読みやすくする過程で、対応範囲や約束の内容が変わっていないか |
| 背景・装飾画像の生成 | 実際の店舗や設備の写真だと受け取られる配置になっていないか |
| 人物画像の生成 | 社員紹介や担当者の説明と並べて、実在のスタッフだと思わせていないか |
| 商品・施工例などの画像生成 | 実際に提供する商品や、自社が手がけた実績として見せていないか |
| サービス紹介文の生成 | 未提供のサービス、根拠のない実績、対応できない納期が加わっていないか |
例えば、架空のオフィスを描いた画像でも、記事の装飾として使う場合と、「当社の設備」という見出しの下に置く場合では、伝わる意味が違います。画像の仕上がりだけでなく、見出しや説明文と合わせて確認する、ということです。
文章も同様です。仮に、原稿にあった「内容を確認してから納期をご案内します」が、校正後に「短納期で対応します」へ変わっていたら、読みやすさの調整だけでは済みません。公開してよい約束かどうかを、担当者が確認する必要があります。
その画像や文章を見て、訪問者が何を事実だと受け取るか。 この問いを、AI の使用箇所を点検する軸にしてみてください。
AIを使ったと書けば、それで十分なのか
JIAA の調査では、AI 使用の明記が、広告を受け入れやすくなる条件として挙げられていました。ただし、それは、表示すれば信頼や購入につながることを実証した結果ではありません。
ホームページでの説明を考えるときも、「AI を使用しています」という表示を加えるだけで、内容の誤解が解消するかを確認したいところです。
例えば、実在しない建物を描いた画像なら、AI 使用の有無に加え、実際の施設を写したものではないと伝わる必要があります。商品や実績の紹介に適していない画像であれば、説明を足すより、実物の写真に差し替える方が目的に合う場合もあるでしょう。
この記事では、AI 使用の表示が法律上どこまで必要かは扱いません。ここで提案しているのは、使用した技術の説明と、掲載内容が示す事実の確認を分けることです。
まずは公開中の1ページから確認してみる
自社サイトで AI を使っているなら、サービス紹介や会社案内など、訪問者の判断に関わる1ページを選んでみてください。
最初は公開画面と、元の原稿や素材を見比べるだけで構いません。
- AI で作った、または加工した文章・画像を確認する。
- 対応範囲、料金、納期、実績などを、社内で確認できる事実と照合する。
- 画像と見出しを一緒に見て、架空のものが実物として伝わっていないか確かめる。
- 修正が必要な箇所を記録し、確認者と更新担当者を決める。
文章や画像の修正で解決でき、自社で更新できるなら、その範囲から進められます。AI を使う部分を限定する、手元の実写素材に戻す、といった選び方でもよいでしょう。
一方、同じ画像が複数ページに表示されていて変更箇所が分からない、説明を加えるためにページの構成を変えたい、更新作業を引き継げる人がいない、といった場合は、制作・運用を支援する相手に相談する段階です。
オレインデザインでは、既存の WordPress サイトの文章・画像の差し替えや、ページ構成・更新方法の改善についてご相談いただけます。対象ページの URL、気になっている表現、元の原稿や画像、今後どう更新したいかを整理して、お問い合わせフォームからお知らせください。
権利や表示義務の個別判断が必要な場合は、その分野の専門家への確認を分けて進めてください。
AI を使う範囲を決めるときも、すでに公開したページを見直すときも、実際に提供しているサービスや商品との照合から始めてみてください。参考になれば幸いです。
















