古い WordPress サイトを一度に作り直さず、段階的に改善する方法

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WordPress サイトの相談をいただく中で、「かなり古いサイトなので、本当は作り直した方が良いとは思っているんですが、すぐに全面リニューアルする予算はなくて」というお話を聞くことがあります。

この状態は、決して珍しいものではありません。

公開から何年も経っているサイトでは、デザインが古く見えたり、スマートフォンで少し見づらかったり、管理画面に更新通知がたくさん出ていたりすることがあります。担当者が変わっていて、そもそも誰がサーバーやドメインを管理しているのか分からない、というケースもあります。

ただ、古い WordPress サイトだからといって、すぐに全部作り直すことだけが正解とは限りません。

もちろん、状態によってはリニューアルを検討した方が良い場合もあります。しかし、まず安全性を確認し、動いていない箇所を直し、運用に必要な部分から少しずつ整えるだけでも、サイトの不安はかなり減らせることがあります。

この記事では、古い WordPress サイトを一度に作り直さず、優先順位を付けて段階的に改善していく考え方を整理します。

まずは「古い=すぐ悪い」と決めつけない

最初に大切なのは、古いサイトを一律に悪いものとして扱わないことです。

長く使われているサイトには、それなりの理由があります。お客様が見慣れている、検索から一定のアクセスがある、社内の更新手順がすでに定着している、過去の記事や実績が蓄積されている。そうした価値は、見た目の新しさだけでは判断できません。

一方で、古い状態のまま放置して良い、という話でもありません。

WordPress 本体、テーマ、プラグイン、PHP バージョン、サーバー環境、問い合わせフォーム、バックアップなどは、時間が経つほど少しずつ現状との差が広がっていきます。ある日突然、表示が崩れる、問い合わせフォームから送信されたメールが管理者に届かない、更新しようとしたらエラーになる、といった形で表面化することもあります。

なので、個人的には「古いから全部壊して作り直す」ではなく、まずは次のように分けて考えるのが良いと思っています。

  • 今すぐ確認した方が良い安全面の問題
  • 早めに直した方が良い運用上の問題
  • 計画的に改善すれば良い見た目や使い勝手の問題
  • いずれリニューアルとして考えた方が良い構造的な問題

この分け方ができると、限られた予算や時間の中でも、何から手を付けるべきか判断しやすくなります。

最初に確認したい5つの項目

古い WordPress サイトを改善するとき、いきなりデザインやページ構成の話から始めるよりも、まずは現在の状態を確認する方が安全です。

特に、次の5つは最初に見ておきたい項目です。

  1. 安全性
  2. 更新状況
  3. バックアップ
  4. 表示崩れ
  5. お問い合わせ等フォーム動作

それぞれ、どんなことを確認したらよいのか紹介していきます。

1. 安全性を確認する

最初に確認したいのは、安全性に関わる部分です。

たとえば、次のような状態がないか確認します。

  • WordPress 本体が長期間更新されていない
  • 使っていないプラグインが残っている
  • 更新が止まっているテーマやプラグインを使っている
  • 管理者アカウントに退職者や旧制作会社のユーザーが残っている
  • 簡単に推測できそうなユーザー名やパスワードが使われている
  • SSL 化されていない、または警告が出ている

ここは、後回しにしすぎない方が良い部分です。

特に、WordPress 本体やプラグインの更新が長期間止まっている場合、単に「新機能が使えない」という話ではなく、脆弱性や互換性の問題につながることがあります。怖がらせたいわけではありませんが、セキュリティに関わる部分は、見た目の調整よりも優先度を高く考えたいところです。

ただし、古いサイトほど、いきなり本番環境で全部更新するのも危険です。

テーマやプラグインの作りによっては、更新後に表示崩れやエラーが出る場合があります。まずはバックアップを取り、可能であれば検証環境で確認してから、本番に反映する流れを作る方が安全です。

2. 更新状況を確認する

次に、WordPress の更新状況を確認します。

見るポイントは、WordPress 本体だけではありません。

  • WordPress 本体のバージョン
  • テーマの更新状況
  • プラグインの更新状況
  • PHP バージョン
  • サーバー側の仕様や制限
  • ブロックエディターへの対応状況

古い WordPress サイトでは、「WordPress 本体を更新したいけれど、PHP バージョンが古くて進められない」「PHP を上げたいけれど、古いテーマが対応しているか分からない」というように、複数の要素が絡み合っていることがあります。

この場合、更新ボタンを押すだけでは済まないこともあります。

まずは、現在のバージョンを一覧化して、何が古いのか、何が依存しているのかを整理します。自分で判断しづらい場合は、この段階で制作会社や保守担当者に相談した方が良いです。

3. バックアップを確認する

改善作業を始める前に、バックアップの状態も確認しておきます。

ここで大切なのは、「バックアップを取っているはず」で止めないことです。

確認したいのは、次のような点です。

  • いつのバックアップがあるか
  • ファイルとデータベースの両方が含まれているか
  • どこに保存されているか
  • 誰が復元できるか
  • 復元手順が分かっているか
  • 実際に復元できることを確認したことがあるか

WordPress サイトは、ファイルだけでなくデータベースにも重要な情報が入っています。テーマやプラグインのファイル、アップロード画像、投稿や固定ページの内容、設定情報などが組み合わさって動いています。

そのため、管理画面から取れるバックアップだけで十分なのか、サーバー側のバックアップも使えるのか、復元するときにどこまで戻せるのかを確認しておきたいところです。

バックアップが曖昧な状態で更新や改修を進めると、何かあったときに戻せなくなる可能性があります。段階的に改善する場合でも、最初の土台としてバックアップ確認はかなり重要です。

4. 表示崩れを確認する

次に、利用者から見える表示状態を確認します。

古いサイトでは、公開当時は問題なく見えていたページでも、現在のブラウザやスマートフォンの画面幅では見づらくなっていたり、表示が崩れてしまう箇所があったりする場合があります。

確認したいのは、たとえば次のような点です。

  • トップページが大きく崩れていないか
  • 主要な固定ページが読める状態か
  • スマートフォンで文字が小さすぎないか
  • 画像がはみ出していないか
  • メニューが操作できるか
  • ボタンやリンクが押しづらくないか
  • お知らせやブログ記事の本文が読みにくくないか

ここで、すべてのページを完璧に直そうとすると大変です。

まずは、問い合わせや申し込み、サービス理解につながる重要なページから確認します。トップページ、サービスページ、料金や実績、会社概要、問い合わせページなど、事業に直接関わるページを優先すると良いでしょう。

見た目の古さよりも、読めない、押せない、たどり着けない、という問題を先に直すのが現実的です。

5. お問い合わせフォームの動作を確認する

見落とされやすいですが、お問い合わせフォームの確認はかなり大切です。

ホームページが表示されていても、フォームが動いていなければ、相談や問い合わせを受け取れません。

確認するポイントは、次のようなものです。

  • フォームから送信できるか
  • 送信後に完了画面や完了メッセージが出るか
  • 管理者にメールが届くか
  • 送信者への自動返信が届くか
  • 迷惑メールに入っていないか
  • 送信先メールアドレスが現在も使われているか
  • スパム対策が機能しているか

特に、担当者変更やメールサーバー変更があったサイトでは、フォームの送信先が古いメールアドレスのままになっていることがあります。

「問い合わせが来ない」と思っていたら、実は問い合わせフォームから送信されたメールが管理者に届いていなかった、という状態は避けたいところです。段階的改善の中でも、フォーム動作は早めに確認したい項目です。

優先順位は「リスク」と「事業への影響」で決める

確認項目が見えてきたら、次は優先順位を付けます。

判断基準としては、次の2つで考えると整理しやすいです。

  • 放置したときのリスクが高いか
  • 事業への影響が大きいか

たとえば、WordPress 本体やプラグインの脆弱性、管理者アカウントの放置、バックアップがない状態は、リスクが高い項目です。ここは見た目の調整より先に扱った方が良いでしょう。

一方で、問い合わせフォームが動いていない、サービスページがスマートフォンで読みにくい、料金や営業日が古い、という問題は、事業への影響が大きい項目です。セキュリティとは別の意味で、早めに直したい部分です。

逆に、次のようなものは、状況によっては少し後回しにできる場合があります。

  • 細かな余白や色の調整
  • 全ページのデザイン統一
  • すぐには使わない機能追加
  • 過去記事の大規模な整理
  • 会社案内的な文章の全面リライト

もちろん、これらも大切です。ただ、限られた予算で段階的に進めるなら、まずは「止まると困るところ」「信頼を大きく損なうところ」「機会損失につながるところ」から手を付けるのが良いと思います。

すぐ直すべき箇所と、後回しにできる箇所

もう少し具体的に分けると、次のように考えられます。

すぐ直すべき箇所

  • サイトが表示されない、またはエラーが出ている
  • 問い合わせフォームが送信できない
  • WordPress 本体やプラグインに重要な更新が溜まっている
  • 管理者アカウントに不明なユーザーがある
  • バックアップが存在しない、または復元できるか分からない
  • SSL の警告が出ている
  • 主要ページの内容が明らかに間違っている
  • スマートフォンで主要導線が使えない

早めに計画したい箇所

  • PHP やサーバー環境の更新
  • 古いテーマやプラグインの置き換え
  • 更新しづらい管理画面の整理
  • 主要ページの情報整理
  • お知らせや実績の運用ルール作り
  • アクセス解析や問い合わせ計測の見直し

後回しにできる場合がある箇所

  • 細かなデザイン調整
  • すべての下層ページの一括リライト
  • 急ぎではない新機能追加
  • 過去記事の全面整理
  • ブランド表現の細かな見直し

この分類は、すべてのサイトにそのまま当てはまるわけではありません。

たとえば、採用サイトとして使っている場合は、採用ページの見え方や応募導線の優先度が高くなります。予約や申し込みが中心のサイトなら、フォームやカレンダー、決済まわりの優先度が上がります。

自分たちのサイトが何のために存在しているのかを踏まえて、優先順位を調整することが大切です。

小さな改善を積み重ねるメリット

段階的に改善するメリットは、予算を分散できることだけではありません。

小さく進めることで、次のような良さがあります。

  • 影響範囲を確認しながら進められる
  • 失敗したときに戻しやすい
  • 本当に必要な改善が見えやすくなる
  • 社内の運用体制を整えながら進められる
  • 全面リニューアルが必要かどうかを判断しやすくなる

特に古い WordPress サイトでは、触ってみないと分からないことがあります。

テーマの中に直接書かれている処理、古いプラグインに依存している機能、制作当時の事情で入った独自カスタマイズなど、見積もり前の調査だけでは読み切れない部分もあります。

だからこそ、いきなり大きく作り替えるのではなく、まずは安全確認と最低限の改善から始める方が、結果的に無駄な作業を減らせる場合があります。

最終的にリニューアルが必要になる状態

段階的改善は有効ですが、どんなサイトでもずっと小さな修正だけで済むわけではありません。

次のような状態であれば、リニューアルも視野に入れた方が良いです。

  • 現在のテーマが保守できない
  • 重要なプラグインが更新停止している
  • PHP や WordPress の更新に対応できない
  • スマートフォン対応が根本的に難しい
  • ページ構成が現在の事業内容と大きくずれている
  • 管理画面が複雑すぎて社内で更新できない
  • 表示速度やアクセシビリティの改善が小手先では難しい
  • 必要な機能追加のたびに不具合が出る

この場合でも、「古いから全部捨てる」と考える必要はありません。

既存サイトの中に残すべきコンテンツ、検索からアクセスされているページ、問い合わせにつながっている導線、社内で使いやすい更新方法などは、次のサイトに引き継げる資産です。

リニューアルは、見た目を新しくする作業というより、これまでの運用で見えてきた課題を整理し、次の数年を無理なく運用するための設計をし直す機会として考えると良いでしょう。

相談前に整理しておくと良い情報

制作会社や保守担当者に相談するときは、次の情報があると話が進めやすくなります。

  • ホームページの URL
  • WordPress 管理画面にログインできるか
  • サーバーやドメインの契約者
  • 現在の保守契約の有無
  • 最後に大きな改修をした時期
  • 困っていること
  • すぐに直したい箇所
  • 将来的に変えたいこと
  • 予算や時期の目安
  • 自社で更新したい範囲

全部そろっていなくても大丈夫です。

むしろ、古いサイトでは「分からないことが多い」こと自体が普通にあります。分からない状態を責めるのではなく、まず何が分かっていて、何が分かっていないのかを整理するところから始めれば良いと思います。

もし、自分のサイトが WordPress かどうか、誰が管理しているのかから確認したい場合は、先に「自分のホームページが WordPress か分からない人のための確認方法と管理状況の調べ方」で扱っているような情報整理から始めるのも良いでしょう。

まとめ

古い WordPress サイトを改善するときは、いきなり全面リニューアルを前提にしなくても構いません。

まずは、安全性、更新状況、バックアップ、表示崩れ、フォーム動作を確認します。そのうえで、リスクが高いもの、事業への影響が大きいものから順番に直していくと、限られた予算や時間の中でも現実的に進めやすくなります。

一方で、テーマやプラグイン、サーバー環境、ページ構成そのものに大きな問題がある場合は、段階的改善だけでは限界が来ることもあります。その場合は、これまでのサイトの資産を整理しながら、リニューアルを計画する方が良いでしょう。

オレインデザインでは、古い WordPress サイトの状態確認、保守開始前の棚卸し、段階的な改善計画、リニューアル前の技術調査なども承っています。

「すぐに全部作り直す予算はないけれど、このまま放置するのも不安」という状態でも大丈夫です。まずは今のサイトで何を優先して確認すべきか、一緒に整理できればと思います。

参考になれば嬉しいです。

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