WordPress 5.9 を覗いてみよう

2022年1月25日にリリース予定となっているWordPress 5.9 ですが、事前にどのような変化があるのかは、毎回のリリースでもそうですが、このように Field Guide という形で情報提供されます。

今回はこちらの記事を参照しながら、WordPress 5.9 について個人的に気になった点を紹介してみます。

以下内容は個人的に意訳したものになります。内容を正確に伝えることができていない場合もあるため、必ず原文を参照いただくようお願いいたします。

また、WordPress 5.9 における新機能などを全て紹介している訳ではありませんので、あらかじめご了承ください。

テーマやプラグインは基本今まで通り使えます

WordPress 5.9 Field Guide の中身を見ていく前に大切なことをしっかりと書いておきます。

現在、WordPress 5.8 までのバージョンを使われている皆さんは、今まで通りテーマやプラグインを基本的に使い続けることができます。

当然、これまでのアップデートを追従しているテーマやプラグインだけが対象になりますが、WordPress 5.8.x で利用できているものは、概ね問題なく WordPress 5.9 でも利用することができるとされています。

ですので、それほど焦らずに WordPress 5.9 を楽しみにしていてください。

以下にもある「フルサイト編集」という機能ですが、対応しているブロックテーマを有効化しないと利用することができない機能になります。

フルサイト編集とブロックテーマ

WordPres 5.9 から本格的なフルサイト編集(Full Site Editing)が可能となります。

今までは、記事編集画面から始まり、ウィジェット編集画面などもブロックエディター化されてきました。

そして、今回は「フルサイト」、要するにサイト全体をブロックエディターで各種ブロックを組み合わせて自由に作ることができるようになります。

しかし、フルサイト編集に対応したテーマでないとフル活用することはできません。ですので、まずは WordPress 公式ディレクトリで公開されている「フルサイト編集」に対応したテーマの中からお好みのものを選んで試してみると良いでしょう。

そして、この「フルサイト編集」に対応するテーマのことを今後「ブロックテーマ」と呼ばれ、これまでの作り方で作られたテーマ(フルサイト編集に対応していないテーマ)を「クラシックテーマ」と呼ばれるようになるようです。覚えておきましょう!

そして、そのブロックテーマの作り方は、既にハンドブックで公開されているので、誰でも試すことができます。

また、そのブロックテーマでも活用される theme.json のバージョンが「2」になりました。それによって出来ることや設定方法なども変わってきています。

これは実際に触って試してみないと、何をどうしたらどうなるのかという部分が言葉の説明だけでは把握しにくいという感想を持っています。ですので、実際に環境を作って試してみるのが一番良いでしょう。一緒にやりましょう。

管理者バーの高さを表すCSS変数の導入

新しくCSS変数 --wp-admin--admin-bar--height というものが追加されました。これによって、ログインしている状態でサイトにアクセスしている際に表示される管理者バーの高さを、あらかじめ用意された上記CSS変数にて示すことができます。

With the --wp-admin--admin-bar--height CSS variable and scroll padding, modern browsers can compensate for the admin toolbar (when it shows). The toolbar offset of 32 or 46 pixels—depending on screen width—is available on the front end without editing the theme:

https://make.wordpress.org/core/2022/01/07/theme-focused-changes-and-filters-in-wordpress-5-9/

スクロールなどの制御が簡単になりますね。

カスタムヘッダー画像へのフィルター追加

クラシックテーマでの活用になるかとは思いますが、WordPress 3.4 から追加されたヘッダー画像へのフィルターが追加されました。

add_theme_support( 'custom-header' );

functions.php などに記述することで利用できるようになるカスタムヘッダー画像の機能ですが、今回以下のようなフックが追加されます。

  • get_header_image_tag()
  • the_header_image_tag()
  • get_custom_header_markup()
  • the_custom_header_markup()

これらを活用することで、マークアップ部分の構造などを変更することが可能となります。

カスタマイザーの挙動について

WordPress 5.9 にてブロックテーマがサポートされるようになることに伴い、カスタマイザーの動作にも変更が発生します。

カスタマイザー内でテーマの変更ができるのですが、そちらから(クラシックテーマから)ブロックテーマへ切り替えるとアラートが表示されます。切り替え後のカスタマイズは(WordPress 5.9 から導入される)サイトエディターにて行うことになります。

ブロックテーマではないテーマ(=クラシックテーマ)は、WordPress 5.8 と同じようにカスタマイザーが動作します。

また、ブロックテーマが有効になっている場合、以前あったように外観→カスタマイズのメニューは表示されなくなります。ブロックテーマはサイトエディターでカスタマイズ可能だからです。

しかし、テーマもしくはプラグインから customize_register() に何かしらコールバック関数が登録されている場合は、カスタマイザーが表示されます。後方互換の確保ですね。

過去のTwenty系のテーマへのアップデート

細かなアップデートがありますね。こういった過去のバンドルテーマにもアップデートが施されるところは本当に素敵だと個人的には思っています。

  • Twenty Twenty と Twenty Twenty-One のプライバシーポリシーリンク
  • Twenty Seventeen と Twenty Twenty の WhatsApp リンクのサポート
  • Twenty Nineteen と Twenty Twenty-One のコメントフォームの変更
  • Twenty Eleven での必須項目インジケーター改善 など

他にも多くの機能追加や変更点がありますので、ぜひ原文を確認してみてください。また、WordPress 5.9 RC2 も試すことができるようになっているので、ぜひテストされてみてはいかがでしょうか。

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WordPress デフォルトテーマ Twenty Twenty-Four を使って、シンプルなブログやポートフォリオサイト、そしてコーポレートサイトを作りながら、ブロックテーマやサイトエディターの基本を理解することができます。