今年で5年目を生きておりますフリーランス人生ですが、今まで本当につくづく良いお客さんに恵まれていたのだな、と痛感する出来事があったので、その対応方法と予防方法を書いておこうと思います。
相手先が特定される情報は一切掲載しない上で、今後このようなことが日本中にフリーランスに起こらないようにするための一助としていただくために書くことにしました。関係者各位のみなさま、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
今まで
上にも書いたように、以前勤めていた印刷会社を退社し開業をして5年目を送っている現在です。
今まで日本全国各地のみなさんから、ホームページやSNS、または実際にお会いしてお話させていただき、お仕事のご相談をいただいてきました。
その中には、実際にお会いしたことのない方とのやり取りも含まれています。そういう場合は、ほとんどが知人を介して紹介していただくという形なのですが、実際にはその知人も実際には会ったことがないという場合もなきにしもあらずでした。そういう意味では怖いですね。
しかし、そこは信頼ベースというか、フリーランスは人と信頼を介して繋がっているようなものだと個人的には考えていて、会ったことがないから信頼できないということもなく、基本的にはやり取りを通して判断させていただくようにしていました。(同じように僕自身も判断してもらっていたと思います)
ただ、僕は基本的に言いたいことは言う派なので、人によっては「細かいことを言う奴」と思われる方も少なくはないと思います。しかし、仕事の品質を保つためには意見交換は必要だと考えていて、かといって言うばかりではなくちゃんと意見も要望も聞いて双方納得いく形で着地させています。
そんな感じで仕事をさせてもらいながら今まで生きてきましたが、ここにきて初めての事案に2件も遭遇するということが発生しました。しかも、ほぼ同時期に、です。心労もそこそこありましたが、誰かの助けになるかもしれないので記録として残しておこうと思います。
後出し契約書への署名・捺印の依頼
この案件は某団体のホームページをリニューアルすることがメインとなった案件です。他にも、サーバー引っ越しやドメイン移管などの業務もあったのですが、メインはリニューアルという形になります。
案件の流れ的には一般的な流れとなりました。
- 顔合わせ&ヒアリング
- ワイヤーフレームの作成→確認→承認
- 実装→デモサーバーで確認→承認
- コンテンツ組み込み→デモサーバーで確認→承認
- サーバーの契約補助・契約→ドメイン移管手続き代行
- デモサーバーから本番サーバーへデータ引っ越し→確認→承認
- 簡単なマニュアル制作を依頼されサービスで受ける
- 納品→納品説明の打ち合わせ
- 1ヶ月のChatworkアフターサポート→完了→完全納品完了
請求書は納品が完了した時点で発行していていました。しかし、問題はここからです。
「守秘義務契約書を締結したい」
案件が終了し、そこで知り得た情報を第三者に漏洩しないためにも守秘義務契約書を交わしたいのだと理解していました。まぁ、そんな珍しいことではないですよね。なので、書類を送付してくださいと伝えました。
しかし、こちらに送られてきたのはホームページ制作業務委託契約書でした。
え?もうすでに委託されて納品完了してるんだけど・・・というのが率直な感想でした。とりあえず契約書の中身を拝見したんですが、以下のような記載がありました。
- 業務項目に「依頼主が制作者へ更新を依頼したら必ず受ける(意訳)」と記載
- 契約期間は「ホームページが存在する限り」
この記載を見て、最初に思ったのは「ん?奴隷契約?」でした。直接的な記載ではなく、そうとも理解できる間接的な記載をしてあることに、若干悪意を感じずにはいられませんでした。
実は少し前にもめていた
実は、この前に納品説明の打ち合わせのために先方へ訪問しているのですが、そこでちょっとしたトラブルがありました。
上に書いてある流れでもわかるように、納品までに確認作業はまめに行われており、当初のヒアリングの際に工程を戻ることはできない(正確にはすると工数が増えて予算オーバーになる)ということは伝えてあるのですが、納品説明打ち合わせ時に伝えられたことは、
- ページ構造変更
- (サービスで作った)マニュアルがわかりにくい
という斬新な内容でした。
まず、ページ構造変更はお断りしました。この時点で嫌な雰囲気満載でしたけども…。そして、マニュアルの作り直しはお受けしました。僕自身、作ったものを作って欲しいと思っているので、そのために必要だと言われたら頑張りました。しかし、「そちらはサービスで作っているマニュアルに対してリクエストしているんですよ」ということはお伝えしました。でないと、これ以上タダ働きが増える可能性を感じたので。
契約書は返却
こういった経緯もあり、そのあとに機密保持契約書じゃなくてホームページ制作業務委託契約書で、しかも奴隷契約疑惑のある記述がされているという結果、僕は契約を拒否しました。
拒否というとあれなんですが、まずは問題点を指摘して「然るべき人間が作った契約書であればあり得ない記載が多くあります」と書面を返却しました。
そのあと、2回ほど書面とチャットワークでのやり取りを行いましたが、改善が見られない書面を毎回送られてくるので「契約をあまりにも強要されますと法的手段を取らないといけなくなることをご理解ください」と書面でお伝えしました。
それっきり連絡は途絶えてしまいました。納得のいかない契約書はサインしてはいけませんよ!!
なお、当案件に関してはお支払いは完了しておりましたので、契約書云々のやり取りのトラブルだけでした。
開業以来初めての未払い発生
こちらは全くの別件。とある法人様
案件の内容としては、子テーマを利用したWordPressカスタマイズがメインとなりました。仕事の流れとしては、
- ヒアリング・打ち合わせ
- 予算と見積もり金額が折り合わなかったので実現方法の変更→担当者と作業の割り振り
- デモ環境は先方が用意→そこに制作物をアップして依頼者・クライアントに確認してもらう
- スケジュールはある程度の粒度で切っていて、都度確認を入れていた
- クライアントにも確認してもらいながら修正を入れていく期間を設置
- 納品期日は最初から設定されていたのでそこをゴールに設定
ざっくり言うとこんな感じですね。プロジェクト的には4までは順調に進みました。
急に担当者と連絡が取れなくなる
僕はほとんどのプロジェクトはChatworkを使ってコミュニケーションを取るようにしています。本件も同じようにChatworkを基本としたやり取りをしていました。
上の4までの工程は全て完了して、クライアントに一旦全てを確認してもらって、修正点などを洗い出すという期間が設けられていたのですが、その期間に入った途端に担当者から全然連絡がもらえないようになってしまいました。
僕としては、直接クライアントと連絡を取る術がないので、担当者が動かないとプロジェクトは進みません。ですが、その担当者との連絡が著しく取れなくなってしまったのです。
成果物自体は、事前に決められた仕様は全て満たしており、あとは部分的な手直しを行なって納品となるレベルまできていました。しかし、プロジェクトが進まなくなってしまった。
納品予定日の1週間前くらいにやっと連絡がありました。納期を遅らせたいとのことでした。それ自体は可能な限り対応するのですが、納期を再設定してもらわないとエンドレス案件になってしまうのでそれは困ります、と伝えました。
それから、納品予定日を過ぎても担当者から連絡はありませんでした。
請求してもOKとのこと
結局、担当者から再三連絡した返事が帰ってきたのが、納品予定日の次の日でした。ちょっと個人的にご立腹でした。こんなこと今までありませんでしたから。
そこでの返事では「一旦請求してもらってもよい」ということでした。ですので、その月末締めで請求書を発行、郵送し翌月末の支払いを待つことになりました。
あれ?支払われていない・・・
月末営業日を過ぎたあとに振込を確認したのですが・・・・
振り込まれていない・・・・・・
正直、今までこんなこと起きたことがなかったので驚きというか焦りを覚えました。(今までのお客さんがどれだけ真っ当だったか痛感しました・・・)
それから、担当者にも連絡をして対応してもらいましたが、全然アクティブに進みません。さらに…
やべーやん。固定電話で「お客様のご都合により通話ができなくなっております。」の場合、料金未納やん。これ逃げられる感じか?#未払い社長への対応
— オレイン(Koji Kuno) (@Olein_jp) June 6, 2018
この時点でちょっと焦りました。倒産したのか?と思いましたね。自動メッセージの内容を調べたら、おそらく理由は電話料金の未払いとのこと。お、おう・・・。
倒産されたら・・・、それは困る!
ということで、
社内に潜入した #未払い社長への対応 pic.twitter.com/LFC9jJdFOa
— オレイン(Koji Kuno) (@Olein_jp) June 6, 2018
会社に突撃してきました。当案件の相手さんは同じ岐阜市(車で10分くらい)の法人さんだったのでサクッと軽いフットワークで行ってきました。
しかし、代表さんに直接お会いすることはできず、相手先法人様の応接間に居ながらもなぜか代表さんと電話で話すだけという滑稽な連絡を取り、帰路に着きました。収穫としては、
- 当案件を把握していないので支払いをペンディングした→ただ社内情報共有ができてないだけだし意味わかんない(んですが当法人さんの名誉のために?書いておく)
- 資金繰りがちょっとアレ
- 20日までには支払うとのこと
- 僕としてはその言葉を信用できる根拠がゼロ以下なので書面で下さい、と依頼
- 法人としての責任以外にも、個人としての保証も明記してほしいと依頼
- 当日(押しかけた日)の夕方5時までに書面の雛形をメールで添付して送る→確認後、締結する予定
ということで決まりました。そして、ほぼほぼ時間通り契約書兼覚書の雛形が届きましたが、どう考えても然るべき人が作った書類ではない。(まぁ、この短時間で作ってくるんだからそうだろうけども)なので、こちらも第三者に確認していただき、必要箇所を修正してもらい、そのやり取りを何度か繰り返し、契約書兼覚書を締結しました。
締結したのが支払い期限ギリギリ前になってしまったのですが、書面の中に期限を過ぎた場合の損害金が請求できる項目を入れてもらっていたので、ギリギリになろうとも締結しておく必要がありました。
そして、無事に20日に振込が完了したことを確認できました。
【未払い速報】振り込まれていることを確認しました!!!!!終わったー!!!!!
— オレイン(Koji Kuno) (@Olein_jp) June 20, 2018
2件に共通すること
それは、知り合いからの紹介であったことです。
僕は知り合いから仕事を紹介されることも良くあります。そして、そういうスタイルはとても大事にしています。
人が人を呼んでくれるということは、少なからず僕に対する評価みたいなものを感じるからです。今回も2件それぞれ違う方が紹介してくれましたが、個人的に僕を評価してくださった上で紹介してくれていると思っています。
そこで何かトラブルが起きるということは、その間の人も少なからず関係してくることなので気をつけないといけません。第三者関係なく直接のやり取りで万が一揉めたとしても、その繋がりがなくなるだけで済みます。しかし、紹介者が存在する場合には、その紹介者の信頼を壊しかねないということを両者認識しておくべきだと僕は思います。
今後も僕は紹介から仕事を依頼されることを拒むことはないでしょう。トラブルや未払いは怖いですが、それを怖がっていては仕事はできませんし。
怖がるのではなく、いろんな方法で予防していくことが僕にできることなのかなと思っています。
2件目に関しては、実は担当者が知り合いだったという・・・案件でして・・・。連絡が取れなくなった理由などはここに書くべきではなと思うので書きませんが、まぁその方はその方で大変な思いをされておりましてですね、お金で揉めるのは本当にアレですねって話ですよ。ただし、それを含めてこちらにも逐一報告するということが案件を担当するということだとは思っていますし、この考えは変わりませんけどね。
まとめ
今後の僕にできることですが、こんなことかなと考えています。
- 今後も紹介での依頼は絶賛受ける
- 必要な契約があるかどうかは事前に確認する
- 支払いに関して信頼できるかどうか受ける時点でまずは第一判断する
- 信頼できると思えない場合には紹介でも依頼は断る
といったことですかね。
まずは全て治って一安心です。そして、今後もトラブルなく人の役に立てる何かをしながら生きて行こうと思います。