お仕事やセミナーなどでお会いした方々にお渡ししている僕の名刺には肩書がありません。
現在の仕事内容から考えると、Webデザイナーとかグラフィックデザイナーなどの肩書が一番しっくりくるのかもしれません。けれど、色々と考えた挙句、今までの名刺には肩書を記載してきませんでした。
今日は、そんな「肩書」について考えてみました。
「肩書」の必要性
名刺に肩書を記載せずに言うことではないかと思いますが、「肩書」の必要性はあると思っています。付けられるものならば僕だって付けたいなと思っているくらいです。けれど、色々と考えた挙句まだ付けられていません。
僕が思う付けたほうが良いと思う点ですが、第一にお客さんに何をやっている人なのかひと目でわかっていただきやすいということがあげられると思います。これは本当にあると思います。
通常の営業、もしくは飛び込み営業をかけたとします。そして、名乗ったと同時に相手に名刺をお渡しして目につくのは社名と肩書と苗字かと思います。よって、名刺レイアウトでもその項目に関しては視線の動きを意識した配置をします。この状況は自分が何者か知らない人がいる場所で用いる場合と考えることができます。
こういった状況ですと肩書の必要性を強く感じます。営業などでお話させていただいたとしても、なかなか名前や顔、職業などを一度に覚えてもらおうというのは難しいと考えています。すると、一番効果的なのが名刺を見て自分を思い出してもらうことだと思います。ですので、その際には社名と名前と同じく肩書も記載しておくことで、より一層イメージを思い出してもらえやすいと思います。
方や僕自身がセミナーや勉強会に参加した際に名刺交換をさせていただく場合。そういう場所だけに、ほとんどの方が同業種もしくは同じ方向を向いている、もしくは向こうとしている方々であろうかと思います。そういった場合には肩書の必要性は若干低くなるのかなと考えています。後述しますが、Webデザイナーなのかグラフィックデザイナーなのかプログラマーなのかというのは若干の専門分野の違いはあれど区切って考えていける時代も終わりが見えてきそうな気がしているからです。
自認の念を込めた肩書
個人的に肩書を名乗るというのは、社会的にとても責任を重く感じることだと考えている部分があります。
僕は世間的に見ても、またはお会いした方々からもよく言われるのは「デザイナーさん」です。確かにデザイン物を制作して納品もしますし、それらを印刷に出して製品化して納品することもあります。ですので、デザインに携わっているという点から考えても、一番落ち着くのがデザイナーという肩書なのかもしれません。
しかし、僕は(個人的な解釈ですが)デザイナーと自信を持って名乗れるような教育を受けてきていません。美術系大学を卒業した方々が名乗っても良い肩書という感覚がとても強く、未だに感じています。ですので、僕個人の感覚では自分をデザイナーとは思っていません。
かといって、デザイナーさんと言われて否定することもしていません。それは相手がそう認識してくださっているのであれば、それが相手にとって自然に落ち着いたイメージであり、一番わかり易いということだと思っているからです。ですから「デザイナーではありませんよ」とは言いません。
なぜこれほどまでに「肩書」に対して重く考えているかというと、誰にでも名乗れば名乗れる職業だからです。最近では、中学生でも高校生でもWebデザイナーと名乗ることが出来る時代です。それほどまでに技術も知識もオープンになってきています。歳を取っていれば良い、若いからダメ、そういう考えは一切ありません。むしろ若い方々の方が明らかに技術の習得はスムーズですし、考えもとてもフレキシブルです。若さのメリットは計り知れません。けれど、年齢に関係なくだれでも名乗れる職業ということは確かなのです。
このような考えで、僕は肩書を名乗ることを今のところ控えています。しかし、お客様にわかりやすく自分の仕事を理解してもらうために良い方法というのは常に考えています。ですので、先々肩書を付けることはあるかもしれません。
お客さん認識優先か自分の考え優先か
難しいところです。しかし、お客さんに間違った認識を与えてしまうことは避けたい。しかし、お客さんにとってはWebデザイナーだろうがグラフィックデザイナーだろうが、ホームページを作ってくれる人もしくはチラシを作ってくれる人なわけです。肩書の認識が間違っていたとしても、その部分が間違っていなければお客さんとは同じ方向を向いて居られると思います。
同業種の方々にどれだけ自分の肩書をお知らせする必要があるのか。その必要性には個人差があると思いますが、Webデザイナーだからといってプログラムまで出来る人、プログラマーだからといってデザインが大好きな人、様々です。肩書だけで一括りする必要があるのでしょうか。また、一緒にお仕事を共にすることを考えると、肩書の必要性はすでに飛び越えているような気もします。大事なのはどんな人かという部分だという人も多いはずです。必要かもしれないのは、ほんのはじめだけではないでしょうか。
そして、僕の業務形態だからなのかもしれませんが、名刺やホームページで自分を紹介する状態(お客様が自分の情報にたどり着いている段階)で、ほぼ僕のやっていることに関してはご存知のことが多いです。(というのも、当方では飛び込み営業などを含めた営業活動を全く行っていないというのもあります)ですので、自分からわざわざ肩書を必要としないという部分もあります。
肩書が必要のない時代へ
肩書があるとその人がやっていることをスムーズに理解できるという点では必要性を感じます。しかし、これからは肩書では語れない(語りきれない)時代になってくるのではないかと推測しています。
Webデザイナーだといってデザインだけして生きていける時代はもうすぐ終わるでしょう。コーディングやその他の領域に対する知識は必要になってきています。グラフィックデザイナーだからWeb関連はできませんという時代も終わるでしょう。こうなってくると、遅かれ早かれ肩書が意味するものが何なのかわからなくなってきそうです。
肩書では表せない業務内容がどんどんと多くなってくるこれからの事を考えると、肩書だけで自分を説明するのではなく、もっと“自分自身”を知ってもらうことが一番大事になってくるのかな、と思い始めています。
また、肩書では計り知れない、あの人にまずは相談してみればなんとか打開策が分かるはず、そんな風に思っていただけるフリーランスになれるように日々精進しなくてはならないなと、最近強く思います。