ChatGPTやCodexを使っていると、「これはGPTsで作るべきなのか」「プロジェクトにまとめるべきなのか」「スキルにした方が良いのか」と迷う場面があります。
特に最近は、ChatGPTの中にChat、Work、Codexといった作業モードがあり、さらにプロジェクトやGPTs、Codexのスキルも出てくるので、最初は少し分かりにくいですよね。
個人的には、次のように捉えると整理しやすいと感じています。
- GPTsは「専門の担当者」
- プロジェクトは「案件ごとの作業部屋」
- スキルは「担当者が使う作業手順書」
この3つは似ているようで、役割が少しずつ違います。この記事では、現時点で確認できる公式情報も踏まえながら、実務でどう使い分けると良さそうかを整理してみます。
なお、この記事は2026年7月17日時点の情報をもとにしています。ChatGPTまわりの機能は更新が早いので、実際に使う際はOpenAI公式ヘルプも確認してみてください。
GPTsは「専門の担当者」
GPTsは、特定の目的に合わせて設定したカスタム版ChatGPTです。
OpenAIの公式ヘルプでも、GPTsは特定の目的のために構成されたChatGPTであり、指示、知識、機能などを組み合わせられるものとして説明されています(参考:GPTs in ChatGPT | OpenAI Help Center)。
たとえば、次のようなものを作るイメージです。
- WordPressプラグイン企画担当
- ブログ記事構成アドバイザー
- 初心者向け文章校正担当
- 見積書チェック担当
- 社内マニュアル回答担当
つまりGPTsは、「誰として振る舞ってほしいか」を定義するものだと考えると分かりやすいです。
GPTsが向いているケース
GPTsが向いているのは、利用者や案件が変わっても、同じ役割を繰り返し使いたい場合です。
たとえば僕の場合で考えると、次のようなGPTsは使い道がありそうです。
- WordPress プラグイン開発アドバイザー
- ブログ記事品質チェック担当
- クライアント向け説明文作成担当
- Gifu WordPress Meetup 企画相談担当
ある程度「こういう口調で、こういう観点から、こういう前提で回答してほしい」という型が決まっているなら、GPTsとしてまとめておく価値があります。
ただし、GPTsは案件ごとの長い経緯を管理する場所というよりは、特定の役割を呼び出すためのものです。継続的な案件管理や資料の蓄積には、次に説明するプロジェクトの方が向いています。
プロジェクトは「案件ごとの作業部屋」
プロジェクトは、ひとつのテーマや案件に関する情報をまとめておく場所です。
OpenAIの公式ヘルプでは、プロジェクトは長く続く作業のために、チャット、ファイル、指示などを一か所にまとめるワークスペースとして説明されています(参考:Projects in ChatGPT | OpenAI Help Center)。
たとえば、次のような単位で作ると使いやすいと思います。
- WordPress ブログ運営
- 新しいサービスサイトのリニューアル
- 書籍や講座の制作
- ボルダリングコンペ管理プラグイン開発
プロジェクトには、その案件に関するチャット、資料、方針、過去の検討内容などを集めておけます。毎回ゼロから説明し直さなくて良いので、長く続く仕事ほど恩恵が大きいです。
プロジェクトが向いているケース
プロジェクトが向いているのは、「何について作業しているか」が継続している場合です。
たとえばWordPressプラグインを開発しているなら、プロジェクトには次のようなものを置いておくと便利です。
- 商品コンセプト
- MVP仕様
- REST API設計
- ライセンス仕様
- Stripe関連の検討メモ
- GitHub Issue化したいタスク
- 販売やサポートの方針
こうした情報は、単発のチャットに散らばると後から探すのが大変になります。プロジェクトとしてまとめておくことで、ChatGPTやCodexに作業を依頼する際の前提が揃いやすくなります。
言い換えると、プロジェクトは「何について話しているのか」を保つための場所です。
スキルは「作業手順書」
スキルは、Codexなどに特定の作業を一定の手順で実行してもらうための仕組みです。
GPTsが「誰として振る舞うか」、プロジェクトが「何について作業するか」だとすると、スキルは「どのように作業するか」を定義するものです。
たとえば、WordPressプラグインをレビューするスキルなら、次のような手順を決めておけます。
- プラグイン構造を確認する
- 対応PHP・WordPressバージョンを確認する
- Nonceや権限チェックを確認する
- エスケープやサニタイズを確認する
- WordPress Coding Standardsを確認する
- テストや静的解析を実行する
- 重要度別に問題を報告する
毎回プロンプトで細かく説明しなくても、スキルとして手順を用意しておけば、同じ品質基準で作業を進めやすくなります。
スキルが向いているケース
スキルが向いているのは、作業のやり方そのものを標準化したい場合です。
たとえば、次のような作業はスキル化しやすいと思います。
- WordPressプラグインの初期調査
- PHPCSの実行と修正
- リリース前チェック
- READMEやCHANGELOGの生成
- GitHub PRレビュー
- アクセシビリティ監査
- 仕様書から実装タスクへの分解
特にCodexにコードを触ってもらう場合、単に「レビューして」と依頼するだけでは、確認観点にばらつきが出ることがあります。スキルとして手順を持たせておくことで、「この順番で、この基準で、この形式で報告してほしい」というところまで揃えやすくなります。
3つを同じ題材で比べてみる
「WordPressプラグイン開発」を例にすると、3つの違いは次のようになります。
GPTsは、WordPressプラグイン開発に詳しい相談相手です。設計、セキュリティ、UX、ビジネス面などから助言してくれる「専門の担当者」と考えます。
プロジェクトは、そのプラグイン開発の作業部屋です。仕様、資料、議論、決定事項、進捗などをまとめておく場所です。
スキルは、レビューやリリース前確認などを行うための手順書です。どのファイルを見て、何を確認し、どのように報告するかを決めておきます。
組み合わせると、次のような関係になります。
WordPress開発に詳しいGPTs的な担当者が、特定のプラグイン開発プロジェクトの情報を参照し、プラグインレビュースキルの手順でコードを確認する
このように考えると、それぞれを競合する機能として見るのではなく、役割の違う道具として扱いやすくなります。
新しいChatGPTアプリになってGPTsは使えなくなったのか
ここは少し注意が必要です。
結論から言うと、GPTs自体が廃止されたわけではありません。OpenAIの公式ヘルプでは、GPTsは引き続きChatGPTの機能として説明されています(参考:GPTs in ChatGPT | OpenAI Help Center)。
一方で、GPTsの作成・編集については、公式ヘルプ上で「Web experience」に限定されると説明されています。モバイルアプリではGPTsを使うことはできても、作成や編集はできない、という整理です(参考:Creating and editing GPTs | OpenAI Help Center)。
また、ChatGPT WorkとCodexに関する公式ヘルプでは、デスクトップアプリ上の導線としてChat、Work、Codexが案内されています。Codexはデスクトップアプリのモードとして提供され、WorkはWeb、モバイル、デスクトップで利用条件に応じて使える、という説明になっています(参考:ChatGPT Work and Codex | OpenAI Help Center)。
つまり、現時点では次のように考えるのが安全そうです。
- GPTsは廃止されていない
- GPTsの作成・編集はWeb版で行う
- 新しいデスクトップアプリでは、Chat / Work / Codexの作業導線が中心
- GPTsを使いたい場合は、Web版ChatGPTのGPTsエリアを確認する
「新しいアプリで見当たらないからGPTsがなくなった」と考えるよりは、「GPTsは残っているが、少なくとも作成・編集の中心はWeb版にある」と捉える方が、現時点では正確だと思います。
僕ならこう使い分けます
実務で使うなら、僕はまずプロジェクトを中心に考えます。
なぜなら、日々の仕事で一番散らばりやすいのは、役割設定よりも案件の文脈だからです。
たとえば、WordPressブログ運営なら、発信方針、想定読者、既存記事、記事アイデア、構造化データの方針などをプロジェクトにまとめておきます。
新しいプラグイン開発なら、仕様、設計、販売方針、サポート方針、GitHub Issue化したい内容などをプロジェクトに置いておきます。
その上で、繰り返し発生する作業をスキル化します。
- 記事構成レビュー
- WordPressプラグインレビュー
- リリース前チェック
- GitHub Issue作成
- 仕様書からタスクへの分解
こうした作業は、毎回同じ観点で確認したいので、スキルに向いています。
GPTsは、作業の型や役割がある程度固まってきてから作るのが良いと思います。特に、自分以外の人にも同じ役割で使ってもらいたい場合には、GPTsとしてまとめる価値があります。
まとめ
GPTs、プロジェクト、スキルは、どれかひとつを選ぶというよりも、役割を分けて組み合わせるものだと考えると分かりやすいです。
- GPTsは「誰として振る舞うか」
- プロジェクトは「何について作業しているか」
- スキルは「どのように作業するか」
最初からすべてをきれいに設計しようとすると、少し大変です。
個人的には、まずプロジェクトで案件の文脈をまとめる。その中で何度も繰り返す作業が見えてきたらスキル化する。そして、役割として安定してきたものをGPTsにする。
この順番が、無理なく育てていける使い方ではないかと感じています。
AIツールは機能名が増えるほど複雑に見えますが、「情報の入れ物」「作業の型」「利用者向けの窓口」と分けて考えると、かなり扱いやすくなります。
日々の制作や開発、執筆の中で、少しずつ自分なりの使い分けを作っていけると良さそうです。













