ホームページのお知らせは、書く内容が決まっているように見えて、意外と手間がかかります。
開催日時、場所、料金、申込方法などを集め、読みやすい文章にし、関係者へ確認し、WordPress へ掲載する。公開後には、内容やリンクが正しく表示されているかも確認する必要があります。
この中で生成 AI が手伝いやすいのは、確定した要点から見出しや本文の下書きを作る工程です。一方で、開催日や料金などの事実を決めること、公開してよいかを判断することまで、生成 AI の出力だけで確定するべきではありません。
お知らせ作成では、生成 AI に文章を考えてもらう前に、人が公開する事実をそろえます。そのうえで、下書きだけを任せ、事実確認、承認、公開、公開後確認は人の業務として残します。
この記事では、中小企業や個人事業主のホームページ更新担当者に向けて、お知らせ作成を6つの工程に分けて整理します。特定の生成 AI サービスや WordPress の自動投稿機能を勧める記事ではありません。
まだ改善したい業務そのものが決まっていない場合は、先に当事業ブログ記事「中小企業が生成AIを導入する前に、最初に整理したい業務」で、現在の作業と困りごとを確認してみてください。
お知らせ作成を6つの工程に分ける
生成 AI を使う前に、普段のお知らせ作成を次の6工程に分けます。
| 工程 | 主な作業 | 担当の考え方 |
|---|---|---|
| 1. 要点収集 | 公開する事実と必要な素材をそろえる | 人が情報源と責任者を確認する |
| 2. 下書き | 見出しや本文の候補を作る | 生成 AI またはテンプレートを使える |
| 3. 事実確認 | 日時、料金、申込先などを照合する | 人が確定情報と比べる |
| 4. 承認 | 表現と公開可否を決める | 承認できる人が判断する |
| 5. 公開 | WordPress へ登録して公開する | 公開担当者が承認済みの内容を反映する |
| 6. 公開後確認 | 表示、リンク、画像などを確かめる | 実際の公開ページを人が確認する |
会社の規模によっては、同じ人がすべてを担当することもあるでしょう。その場合でも、工程を分けて考える意味はあります。
「文章を作る」「事実を確認する」「公開してよいと決める」を分けると、生成 AI に任せる場所と、人が責任を持つ場所が見えやすくなるからです。
1. AI へ渡す前に、公開する要点を人が確定する
最初に、お知らせへ掲載する要点を集めます。
内容によって項目は変わりますが、イベントや営業案内であれば、次のような情報が考えられます。
- お知らせの目的
- 開催日、休業日、変更日などの日付
- 開始・終了時刻
- 会場、対象店舗、対象地域
- 対象者
- 料金と支払条件
- 申込方法と申込期限
- 申込 URL
- 問い合わせ先
- 公開開始日と公開終了日
- 使用してよい画像や資料
- 内容を確定した人
ここで大切なのは、生成 AI に不足情報を推測させないことです。
例えば、申込期限が決まっていない状態で下書きを作ると、もっともらしい期限が文章へ加わる可能性があります。「未定」と書かせることもできますが、公開前に確定が必要な項目であることは変わりません。
日時、料金、対象者、申込先など、間違えると読者の行動へ影響する情報は、人が情報源を確認してから AI へ渡します。
必要な情報が毎回似ている場合は、フォームや表計算の入力欄を使って集めると、抜けを見つけやすくなります。メールやチャットから毎回探すより、必須項目を決めた方が手戻りを減らせることもあります。
2. 確定した要点から下書きを作る
要点がそろったら、生成 AI へ文章整理を依頼します。
生成 AI に任せる候補は、次のような作業です。
- 見出し案を複数出す
- 箇条書きの要点を文章へ整える
- 読者が先に知りたい情報から並べ直す
- 長い文章を短くする
- Web サイト、メール、SNS それぞれの下書き候補を作る
- 抜けている可能性がある項目を候補として挙げる
最後の「抜けている項目」は、生成 AI に事実を補わせるという意味ではありません。「会場へのアクセスが必要ではないか」「申込期限を載せなくてよいか」といった確認候補を出してもらい、人が必要性と内容を判断します。
指示文に含めたいこと
生成 AI へ送る指示文は「プロンプト」と呼ばれることがあります。難しく考えず、作ってほしいもの、元になる情報、守ってほしい条件をまとめます。
例えば、次のような形です。
以下の確定情報から、会社のホームページに掲載するお知らせの下書きを作成してください。
目的:
対象読者:
確定情報:
- 日時:
- 場所:
- 対象者:
- 料金:
- 申込方法:
- 申込期限:
- 問い合わせ方法:
条件:
- 確定情報にない事実を追加しない
- 見出しと本文を作る
- 最初の段落で、読者に最も重要な変更点を伝える
- 日時、料金、URLは入力内容を変えない
- 判断できない項目は推測せず「要確認」と示す
この指示文を使っても、下書きが正しいと保証されるわけではありません。生成 AI が要点を取り違えたり、表現を変える中で意味がずれたりする可能性を前提に、次の工程で照合します。
3. 下書きを確定情報と照合する
下書きができたら、読みやすさを直す前に、事実を確認します。
確認するときは、生成 AI へ入力した要点や、社内で承認された資料と一つずつ比べます。
| 確認項目 | 照合する内容 |
|---|---|
| 日時 | 年、月、日、曜日、開始・終了時刻 |
| 場所 | 会場名、住所、対象店舗、オンライン開催の条件 |
| 対象者 | 誰が参加・利用できるか |
| 料金 | 税込・税別、無料条件、追加費用 |
| 申込み | 期限、方法、定員、申込 URL |
| 問い合わせ | 窓口、電話番号、フォーム URL、受付時間 |
| 表現 | 未確定事項や社内事情が混ざっていないか |
| 素材 | 画像、PDF、リンクを公開してよいか |
曜日は日付から推測せず、社内の確定情報と合わせます。リンクは文字列だけを見るのではなく、実際に開いて正しいページか確認します。
また、生成 AI が作った文章に「必ず」「すべて」「どなたでも」などの強い表現が加わっていないかも確認します。条件があるサービスやイベントで断定が加わると、元の案内と意味が変わることがあります。
確認者と承認者の役割を整理したい場合は、AIに任せてよい仕事と、人が判断した方がよい仕事の分け方も参考にしてください。
4. 表現と公開可否を人が承認する
事実が合っていても、そのまま公開できるとは限りません。
次に、会社として伝えてよい内容か、読者に誤解を与えない表現か、公開する時期は適切かを承認します。
例えば、次の点です。
- 公開前の商品名や価格が含まれていないか
- 一部の顧客だけに案内する内容を一般公開してよいか
- 取引先名や担当者名を掲載してよいか
- 社内事情を必要以上に説明していないか
- 公開開始日時より前ではないか
- 内容について問い合わせを受ける窓口が決まっているか
確認者と承認者は、同じ人でも構いません。ただし、「元情報と合っているか」と「会社として公開してよいか」は別の判断です。
生成 AI の下書きを採用する理由を「自然な文章だから」だけにせず、確定情報との一致と、公開責任者の承認をそろえます。
5. WordPress へ登録し、公開前にプレビューする
承認された文章を WordPress へ登録します。
この工程では、生成 AI の出力から WordPress へ自動投稿することを前提にしません。まずは「下書き」として登録し、公開前の表示を確認できる状態にします。
公開前には、少なくとも次を確認します。
- タイトルと本文が承認済みの内容と一致している
- 見出しや箇条書きが読みやすく表示されている
- リンク先が正しい
- 画像や PDF が意図どおり表示される
- スマートフォンでも重要な情報を読める
- 公開日や予約公開の日時が正しい
- カテゴリーや掲載場所が適切である
- 公開終了後に削除・更新する必要があるか決まっている
WordPress の画面や利用できる機能は、サイトの設定、テーマ、プラグイン、担当者の権限によって異なります。操作方法が分からない場合は、無理に自動化せず、現在のサイトを管理している人へ確認してください。
6. 公開後のページを開いて確認する
公開ボタンを押したところで、お知らせ作成は終わりではありません。
管理画面で確認した内容が、一般の閲覧者が見るページでも意図どおり表示されているかは、公開ページそのものを開かなければ確認できません。
公開後は、実際のページを開いて次を確認します。
- タイトル、日時、料金、申込期限が正しい
- 申込 URL と問い合わせ先を開ける
- 画像や PDF を表示・閲覧できる
- パソコンとスマートフォンで重要な情報が読める
- お知らせ一覧やトップページの想定した場所に表示される
- 予約公開の場合は予定した日時に公開された
- 公開した URL を社内共有できている
誤りが見つかった場合は、誰が修正し、どの関係者へ知らせるかも決めておきます。申込先や日時など、読者の行動へ影響する情報を修正したときは、必要に応じて訂正方法も社内で判断します。
架空例: セミナーの申込期限を延長するお知らせ
ここでは、説明のために架空の小規模事業者を考えます。実在する顧客やオレインデザインの事例ではありません。
この事業者は、Web サイトで案内しているセミナーの申込期限を延長することにしました。担当者は、生成 AI を使ってお知らせの下書きを作ります。
人が確定した要点
目的: 申込期限の延長を伝える
セミナー名: はじめての業務整理セミナー
開催日時: 2026年9月18日 14:00〜15:30
会場: 市民交流センター 2階会議室
対象者: 小規模事業者の担当者
料金: 無料
変更前の申込期限: 2026年9月8日
変更後の申込期限: 2026年9月15日 17:00
申込方法: 既存の申込フォーム
問い合わせ方法: 自社サイトの問い合わせフォーム
承認者: 事業責任者
生成 AI に任せる工程
担当者は、この要点からタイトル案と本文の下書きを作らせます。
生成 AI には、申込期限を延長する理由を推測させません。また、定員の残りや参加特典など、確定情報にない内容も追加させません。
人が確認・承認する工程
担当者は、下書きに書かれたセミナー名、開催日時、会場、料金、変更前後の期限を要点と照合します。申込フォームを実際に開き、受付期間の設定も変更されているか確認します。
その後、事業責任者が、申込期限の延長を公開してよいことと、文章の表現を承認します。
公開と公開後確認
公開担当者は WordPress へ下書きとして登録し、プレビューで見出し、期限、リンクを確認してから公開します。
公開後は、実際のページとお知らせ一覧を開き、申込フォームへ移動できることを確認します。お知らせだけ期限を変更し、申込フォーム側の締切が古いままでは、読者は申し込めません。文章と実際の受付状態をそろえるところまでが、この例での公開確認です。
AI を使わず、テンプレートだけでよい場合もある
お知らせの文章が毎回ほぼ同じなら、生成 AI を使わない方が確認しやすい場合があります。
例えば、定休日変更、休業案内、営業時間変更などで、見出しと本文の形式が決まっている場合です。
タイトル: [対象日]の営業時間変更のお知らせ
[対象日]は、[変更後の営業時間]で営業いたします。
通常の営業時間と異なりますので、ご来店の際はご確認ください。
対象店舗:
問い合わせ先:
このようなテンプレートへ確定情報を入れるだけで足りるなら、毎回文章を生成する必要はありません。
一方で、複数の要点を読者向けに並べ替える、長い説明を短くする、媒体ごとに下書き候補を作るといった工程では、生成 AI を試す余地があります。
個人的には、定型部分はフォームやテンプレートでそろえ、文章の整理が必要な部分だけ生成 AI を使う方が、確認箇所を増やしにくいと考えています。
入力する情報は別に確認する
お知らせの下書きを作る目的でも、元のメール、会議資料、顧客からの連絡をそのまま生成 AI へ貼り付けてよいとは限りません。
次の情報が含まれる場合は、入力前に立ち止まります。
- 個人情報
- 顧客や取引先から預かった情報
- パスワードや API キーなどの認証情報
- 未公開の商品、価格、人事、契約情報
- 社内や契約で外部共有を制限している情報
公開予定のお知らせであっても、承認前の内容は未公開情報です。
入力してよいかは、情報の種類だけでなく、利用するサービス、プラン、アカウント、設定、社内ルール、顧客との契約を確認して判断します。確認できない場合は、その場では入力せず、情報の管理者や利用サービスの社内管理者などへ確認してください。
元資料を丸ごと入力せず、公開を承認された要点だけに絞る、仮の情報で出力形式を試す、AI を使わずテンプレートへ切り替える、といった方法もあります。
自社で進めやすい範囲と、相談したい状態
次の条件がそろっていれば、自社で小さく試しやすいでしょう。
- 公開する要点を人が確定できる
- 生成 AI へ入力してよい情報と利用環境を確認できる
- 下書きを元情報と照合できる
- 確認者、承認者、公開担当者が決まっている
- WordPress へ下書き登録し、プレビューできる
- 公開後のページと申込先などを確認できる
- 問題があれば手作業やテンプレートへ戻せる
一方、次のような状態では、社内担当者、現在のサイト管理者、利用サービスの提供元、必要に応じて各分野の専門家へ相談します。
- 公開する情報そのものが確定していない
- 個人情報や顧客情報を加工せず入力する必要がある
- 生成 AI の利用環境や社内ルールが分からない
- 誰が内容を確認・承認するか決まっていない
- WordPress の操作権限や公開手順が分からない
- 予約、申込み、決済など別の仕組みも変更する必要がある
- 自動投稿や外部サービスとの連携まで行いたい
- 法律、契約、個人情報保護、全社的な情報セキュリティの判断が必要になる
相談前には、次の情報を整理しておくと状況を共有しやすくなります。
- 作りたいお知らせの種類と頻度
- 現在の要点収集から公開までの流れ
- 困っている工程
- 使用している WordPress サイトと更新権限
- 使用予定の生成 AI サービス、プラン、アカウント
- 扱う情報の種類
- 内容を確認・承認・公開する人
- 申込み、予約、問い合わせなど関連する仕組み
- AI を使わずに行っている現在の方法
お知らせ作成と WordPress 運用を相談したい方へ
オレインデザインでは、Web サイトや WordPress の運用・実装に関する相談を受け付けています。
お知らせの要点が集まらない、担当者によって文章や確認方法が変わる、WordPress へ公開した後の確認手順が決まっていない、といった場合は、現在の作業の流れを分かる範囲でお知らせください。生成 AI を使う方法だけでなく、入力フォーム、テンプレート、既存機能を使う方法も含め、対応できる範囲をご案内します。
オレインデザインは、全社的な AI 導入、法律、契約、個人情報保護、社内セキュリティを専門に支援するサービスではありません。内容に応じて、社内担当者や各分野の専門家への確認をお願いします。
詳しい対応内容はWordPress運用・実装サポートをご確認ください。お問い合わせフォームからご相談いただく際は、個人情報や顧客の機密情報を入力せず、まずお知らせ作成の流れと困っている工程をお知らせください。
まとめ
ホームページのお知らせ作成で生成 AI を使うときは、作業を次の6工程に分けます。
- 公開する要点を人が確定する
- 確定した要点から下書きを作る
- 下書きを元情報と照合する
- 表現と公開可否を人が承認する
- WordPress へ下書き登録し、プレビューしてから公開する
- 公開後のページ、リンク、関連する受付状態を確認する
生成 AI に任せやすいのは、見出し案、文章整理、媒体ごとの下書き候補などです。日時、料金、申込先などの事実、会社としての表現、公開可否は、人が確認・判断します。
文章が定型化されているなら、フォームやテンプレートだけで十分な場合もあります。生成 AI、既存ツール、人の判断を工程ごとに分け、確認しやすく続けやすい方法を選んでください。
お知らせ作成の効率化は、文章を速く作ることだけではありません。正しい情報を、承認された内容で公開し、読者が実際に利用できる状態まで確認することが大切です。
毎回のお知らせ作成を無理なく続けるための手順として、この記事が参考になれば嬉しいです。













