世の中にある、人間によって作り出されたもの全てに言えることですが、最初から完璧なデザインで完成されることはありません。
僕は最近は主にWebに関わるデザイン制作をすることが多くなってきています。クライアントの意向を聞き、目指しているゴールを確認し、そこに可能な限り向かっていけるようなデザインを制作するわけですが、絶対に最初から完璧な完成されたデザインを作り出すことはできません。
いくら対象となるユーザーを思い描いても、どれだけ多くのペルソナを想定してジャーニーマップを作成しても、完璧はありえないのです。
そういう考え方をしていくと、ほんとうにWebサイト(ホームページ)というのは生き物だなと痛感せざるを得ません。
誰かに寄せれば誰かから遠ざかる。その繰り返しの中で、求めるゴールに一番近くなるポイントを探す。そして、突き詰めながら考えて改良を重ねる。これがWebサイト制作のあるべき姿なのではないかと考えています。
予算がある。それは当然のことです。お金が湯水のごとく湧いてくるわけではありませんから。しかし、求めたいもの・得たいものに対して適切な予算が割かれていることの方が少ないのが現実です。ですから、どこかで妥協点というか、できること・できないことを明確にしていかないと、制作者・発注者のどちらか、もしくは両者が辛い思いをすることになってしまいかねません。
最近、僕は最初から大げさなホームページは必要ないと考えるようになってきました。
どうしてもホームページが欲しい・作りたいと考えて計画を進めていく中で目にする比較対象のホームページは、すでに完成に近づいているものや改良を重ね始めた時点のものであったりします。それは運用を進め改良を重ねていった結果、よく見えるかもしれません。
そのようなものを比較対象としているから最初から全てを揃えたくなってしまうのかなと感じることも少なくありません。
ユーザーを想定して、もしくは実際に声を聞きながら必要なページは何なにかをしっかりと吟味しながら構成を考えていく。しかし、それは最初から全てを補うにはリソースも時間も少ない場合が多々あります。
どんな用途なのか・どんなゴールを目指しているのかにもよりますが、まずは本当に必要な構成をしっかりと考えてホームページを作るべきです。最初から全てが揃っていなくても大丈夫です。必要なら後から加えればいいのです。
「あそこのホームページにもあるから、うちにも欲しい」というのは安易です。しっかりと必要かどうかを考えなければなりません。そして、今必要かどうかも吟味が必要です。
そのような手間かもしれませんが手数をかけて最低限の構成で公開することによって、初期予算をかなり抑えることができます。そして、しっかりと運用にも予算を設けましょう。
運用をしていく上でわかってくることがほとんどでしょう。実際のユーザーの行動や意見に勝るものはないからです。
「更新作業ができる」と「運用ができる」は全く別の意味になります。
「更新作業ができる」というのは、WordPressをはじめとするCMSの操作ができる、もしくは静的サイトをHTML/CSS/JavaScriptを修正・追加してページを作成できる、という意味です。では、どのようなページが必要なのか、どのページのどの文章を加筆・修正する必要があるのか、判断できるでしょうか。
「運用ができる」というのは、CMSの操作やコードの修正は当然対応でき、問題となる箇所・改善が必要な箇所・テストが必要な箇所などを判断できることも含むと僕は考えています。
今までたくさんの方とお話させていただきながら感じるのは、「運用」ということを前者の意味で考えてみえる方がとても多いのではないかという点です。だからなかなか結果に直結しないのでしょう。
先ほども書いたように求めているゴールにもよりますが、僕は今年から可能な限り小規模・小投資でホームページをスタートし、運用に予算を割ける提案を増やしていこうと考えています。
ただただお金をもらうだけのことを考えれば、ちゃっちゃと欲しいと言われる分だけ作ってがっつりお金をもらって終了。というやり方になってしまいがちですが、それでは結局クライアントさんのためにならないんですね。それではお互いに寂しいじゃないですか。
ですから、小さく始めて徐々に育ていく。この「育てていく」というのは、ホームページ運用に慣れていないクライアントさんも一緒に、という意味も込めています。ホームページ運用を「ホームページ」、「Olein Design」、「クライアント」の三位一体で進めていく必要があります。クライアントさんの協力がなければ成功はありません。ほっぽり投げてうまくいくことはありません。一緒に運用を進めていくことにより、最終的にはクライアントさん自身で運用を行えるようになっていただくという狙いもあります。
運用を自身でも行えるように学んでいただいたその後は、困った時・必要な時にだけ声をかけていただければいいかな、と考えています。
最初から完璧なものを作ろうとしてもできません。だから、まずは小さく始めて、運用していくことによって必要な部分を明確にしテコ入れを繰り返す。こういった制作・運用をどんどん推し進めていこうと考えています。