制作会社との保守契約を終了することになったけれど、これからホームページを誰が管理するのかは、まだ決まっていない。お知らせの更新は社内でできるので、しばらく自分たちで管理しようかと考えている。
そんなときは、記事を更新する仕事と、サイトを動かし続けるための仕事を分けて整理すると、次の体制を考えやすくなります。
社内で管理する方法も、別の保守先へ任せる方法もあります。大切なのは、契約終了後に必要な作業の担当が決まっていることです。 すべてを同じ相手へ任せる必要もありません。
この記事では、制作会社と連絡が取れ、引き継ぎを相談できる状況を前提に、契約終了日まで、終了直後、次の体制を決めるまでの順で確認事項を整理します。個別の契約における権利や費用負担は、契約書と当事者間の確認が必要です。
契約終了日までに、情報と権限を引き継ぐ
まず確認したいのは、保守契約の終了に伴って、何の作業やサービスが止まるのかです。
WordPress の更新だけが終了するのか、サーバーやドメインの支払い代行、バックアップの保存、メールの管理も終了するのか。現在の契約先へ、終了日とあわせて確認しましょう。保守契約の終了と、サーバーやドメインの解約を同じものとして進めないことが大切です。
WordPress の管理権限と、サーバー・ドメインの名義は別
WordPress はページや記事を管理する仕組み、サーバーはサイトのデータを置く場所、ドメインは example.com のようなサイトやメールの住所です。同じ制作会社が管理していても、確認するアカウントや契約はそれぞれ異なります。
| 対象 | 終了日までに確認したいこと |
|---|---|
| WordPress | 自社のアカウントでログインできるか、必要な管理権限があるか、通知先のメールを受信できるか |
| サーバー | 契約先、契約名義、管理画面へ入れる人、支払方法、次回更新日、メールの利用状況 |
| ドメイン | 契約先、登録名義、登録メールアドレス、支払方法、更新期限 |
WordPress の「管理者」は、単一サイトの管理機能へ広くアクセスできる権限です。記事の編集ができる「編集者」とは役割が異なるため、お知らせを投稿できるだけでは、管理に必要な権限がそろっているとは限りません。 権限の違いは、WordPress 公式の説明でも確認できます。
一方で、WordPress の管理者になっていても、サーバーの契約変更やドメインの更新までできるとは限りません。契約名義、支払者、実際に操作できる人を分けて記録します。
制作会社の名義になっている場合は、契約を継続する方法や名義変更の手続きを、制作会社と契約先へ確認してください。複数の顧客サイトを管理しているアカウントを、そのまま自社へ渡してもらえるとは限りません。
パスワードだけでなく、今後の管理に必要な記録を受け取る
引き継ぎ資料には、次の情報も含めてもらうと良いでしょう。
- 最後に更新した日と、残っている更新・不具合
- 使用しているテーマ (表示の仕組み) とプラグイン (機能を追加するもの) の一覧
- 独自に変更した部分と、仕様書・変更履歴の保管場所
- 有料テーマやプラグインの契約者、利用条件、更新期限、契約終了後の扱い
- バックアップの取得日時、対象、保存先、復元方法
- フォームの通知先や、アクセス解析など外部サービスの管理者
- 終了後も残る契約や支払い、停止するサービス
資料を受け取ったら、自社側で開けるか、記載されたアカウントでログインできるかまで確認します。パスワードや認証コードは通常のメールで広く転送せず、双方で共有方法と保管先を決めてください。
なお、契約終了後にバックアップデータへアクセスできなくなるのか、いつまで保存されるのかも確認したいところです。「必要になったら元の制作会社へ頼む」という前提が、終了後も成り立つとは限りません。
契約終了直後は、動作確認と当面の担当を決める
次の保守先がまだ決まっていなくても、社内で確認を続ける人は決めておきましょう。最終的な体制が決まるまで、誰が通知を読み、必要な対応を依頼するのかを明確にします。
サイトが通常どおり動いているなら、社内では設定を変えずに、次の確認から始められます。
- トップページと、問い合わせ・申し込みにつながるページを開く
- フォームにテストと分かる内容を入力し、通知メールが届くか確かめる
- 自社の WordPress アカウントでログインできるか確かめる
- サーバーやドメインの更新通知が、今後の担当者へ届くか確かめる
- 引き継いだ資料、契約期限、不明な項目を一覧にする
すでにサイトが表示されない、会社のメールが使えない、期限切れの通知が届いている場合は、体制の検討と並行して、契約先のサポートや専門家へ相談してください。
バックアップは「ある」だけで終わらせない
バックアップとは、不具合などに備えて保存しておくデータの控えです。一般的な WordPress サイトを完全に復元するには、画像やテーマなどのファイルと、記事や設定を保存するデータベースの両方が必要です。WordPress 公式のバックアップガイドでも、この2つをそろえる必要があると説明されています。
引き継いだバックアップについては、取得日時と対象に加え、今後も取得が続くか、誰が結果を確認するか、問題が起きたら誰が復元するかを決めます。保存先へアクセスできない、復元方法が分からない場合は、更新作業へ進む前に相談したいところです。
また、終了日時点の控えを1つ受け取っても、その後にサイトへ保存されるデータまで守れるわけではありません。次のバックアップをいつ取るかも、サイトで増える情報に合わせて決めましょう。
更新を止め続けず、作業前後の確認まで担当を決める
WordPress 公式の更新手順では、更新前のバックアップが案内されています。管理状況が分からないまま、残っている更新を一括で適用するのは避けたいところです。
ただし、次の契約が決まるまで更新を放置する、という意味ではありません。現在の状態と復旧方法を確認し、いつ、誰が更新するかを決めます。自動更新を使っている場合も、設定の引き継ぎと更新後の確認を担当に含めてください。
次の表は、担当を分ける考え方の例です。自社の担当者名や委託先名に置き換え、決まっていない業務があれば、そこから相談すると良いでしょう。
| 業務 | 実行する人 | 結果を確認する人・確認内容 |
|---|---|---|
| サーバー・ドメインの契約更新 | 社内担当者または委託先 | 社内窓口が期限と支払結果を確認する |
| WordPress 本体・テーマ・プラグインの更新 | 状態と影響を判断できる担当者 | 更新後の表示やフォームを、決めた担当者が確認する |
| バックアップ | 社内担当者または委託先 | 保存日時・対象・保存先を確認する |
| 障害時の調査・復旧 | 復旧作業を担当できる人または依頼先 | 社内窓口が事業への影響を共有し、復旧後の動作を確認する |
バックアップの取得、更新、障害時の復旧は、別々の仕事として担当を確かめます。 更新をお願いした相手が、復旧も同じ条件で引き受けるかは、事前に確認が必要です。
次の体制は、社内で続けられる範囲から考える
僕は、サイト管理を社内へ戻すとき、操作できる人がいるかに加えて、確認と復旧まで続けられるかを考えるのが良いと思っています。
社内でお知らせを更新できるなら、その仕事を外へ移す必要はありません。一方で、更新ボタンを押せても、表示が崩れたときに戻せないのであれば、技術的な更新は外部へ相談する方法があります。
社内管理・分担・外部委託を比較する
| 体制 | 選択を検討しやすい条件 | 決めておきたいこと |
|---|---|---|
| 社内で管理する | サイトの構成を把握でき、更新前後の確認と復旧を担当できる。作業時間と代わりの担当者も確保できる | 確認頻度、作業記録、担当者不在時の対応、相談先 |
| 社内と外部で分担する | 記事更新や表示確認は社内でできるが、技術的な更新・調査・復旧には支援が必要 | どこまで社内で触るか、依頼する条件、連絡窓口 |
| 技術管理を外部へ委託する | 社内に担当時間や技術的な判断材料がない、または停止時の影響に備えた対応体制が必要 | 対象業務、対応時間、報告方法、社内で確認・承認する人 |
外部へ委託する場合も、会社の情報が正しいか、問い合わせが届いているか、費用や契約を承認するかといった社内の判断は残ります。技術作業を任せる相手と、社内の窓口をそれぞれ決めておくと、確認事項が行き違いにくくなります。
反対に、社内管理にしても、困ったときだけ調査や復旧を依頼する方法はあります。ただし、その依頼先がすぐに対応できるかは別の話です。予約や購入など、止まると事業への影響が大きい機能があるなら、対応時間や連絡方法を先に相談しておきましょう。
新しい保守先には、引き継ぎの進め方も確認する
新しい保守先を選ぶときは、月額費用や更新回数とあわせて、現在のサイトをどのように引き継ぐかを確認します。
- 契約前または作業前に、サイトの状態を調べるか
- 独自のテーマや機能、有料製品の利用条件を確認するか
- 更新前のバックアップと、更新後の動作確認はどこまで含むか
- 障害時の受付時間、連絡方法、調査・復旧の範囲は何か
- 追加費用が必要になる作業と、その承認方法は何か
- 自社が管理権限やバックアップを確認できるか
- 次に契約を終了するとき、資料やデータをどう引き継ぐか
「保守」という名称だけで、これらの作業がすべて含まれるとは判断できません。自社で行う業務と、委託する業務を伝えたうえで、見積書や契約内容を確認してください。
現在の状態が分からないなら、調査から始める
管理権限、更新履歴、バックアップの状態が分からない場合は、社内管理か継続保守かを決める前に、現状を調べる方法があります。
制作会社と連絡が取れるうちは、不明な項目を一覧にして追加の説明をお願いしましょう。資料と画面の状態が一致しない、長く更新されていない、独自の変更があって影響を判断できない場合は、別の専門家へ調査を依頼することも検討できます。
その際は「まずすべて更新してほしい」ではなく、引き継いだ情報で管理を続けられるか、足りない権限や復旧手段がないかを確認してほしいと伝えると、依頼の目的が明確になります。
なお、契約終了に加えて、以前の制作会社と連絡が取れなくなっている場合は、確認の進め方が変わります。「制作会社と連絡が取れなくなった WordPress サイトで、最初に確認すること」で、手元の資料から契約先を探す方法を整理しています。
相談前には、終了日と分からない項目をまとめる
資料集めや、正規のアカウントで画面を見て記録する作業は、自社でも進められます。一方で、名義や管理権限が引き継げない、バックアップから戻せるか分からない、更新の影響を判断できない場合は、変更作業を始める前に相談した方が良いでしょう。
相談時には、分かる範囲で次の情報を用意してください。
- ホームページの URL と、現在困っていること
- 保守契約の終了日、終了する作業・サービス
- サーバー・ドメインの契約先、名義、更新期限
- WordPress へログインできるか、管理者権限があるか
- 引き継ぎ資料、更新履歴、バックアップの有無
- 止まると困る機能と、社内で担当できそうな業務
- まだ確認できていない項目
すべてをそろえてからでなければ相談できないわけではありません。パスワードや認証コードは最初の問い合わせに入力せず、必要になってから安全な共有方法を確認します。
オレインデザインでは、他社が制作した WordPress サイトについても、管理状況の確認や引き継ぎに必要な情報の整理、今後の運用方法をご相談いただけます。契約名義の変更手続きは各契約先へ、契約上の権利に関する判断は必要に応じて法律の専門家へ確認してください。
「保守契約は終了したけれど、どこまで社内で管理できるか分からない」という段階なら、ホームページの URL と終了日、分かっていることを添えて、お問い合わせフォームからご連絡ください。
引き継いだ情報を確かめ、当面の担当を決めるところから、無理なく続けられる管理体制を考えていただければ嬉しいです。













