WordPress サイトの改修前調査では何を確認するのか

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「トップページの文章を少し変えたい」「お問い合わせフォームの項目を追加したい」「スマートフォンで崩れている箇所を直したい」。

依頼したい内容が小さく見えるほど、すぐに費用と納期を知りたいと思うのは自然なことです。ただ、既存の WordPress サイトでは、表示されているページを見るだけでは、どこをどのように変更すれば良いか判断できない場合があります。

同じ見た目のサイトでも、使っているテーマやプラグイン、追加されたコード、サーバーの状態はそれぞれ異なります。修正したい箇所とは別の場所に、作業へ影響する設定や古い仕組みが隠れていることもあります。

僕は、既存サイトの改修では、「どこを直すか」と同じくらい、「今の状態へ戻せるか」「変更がほかの機能へ影響しないか」を確認することが大切だと考えています。

この記事では、WordPress サイトの改修前調査で確認する範囲と、調査と改修を分けて依頼する場合がある理由を、サイト所有者向けに整理します。調査によって分かることだけでなく、実際に作業してみなければ確定できないことも分けて説明します。

改修前調査は、サイトの「現在地」を確かめる工程

改修前調査とは、希望する変更を安全に進められるか判断するために、サイトの構成、管理状況、影響範囲、元へ戻す手段を確認する工程です。

ここでいう「安全」は、絶対に問題が起きないという意味ではありません。事前に確認できる問題を減らし、想定外のことが起きた場合に対応できる状態を整える、という意味です。

たとえば、画面上では単純な文字変更に見えても、その文字が次のどこから出力されているかで作業方法は変わります。

  • WordPress の固定ページに入力されている
  • テーマの設定画面に保存されている
  • テーマのファイルへ直接書かれている
  • プラグインが自動的に表示している
  • 外部サービスから読み込まれている

変更元を確かめずに手を加えると、別のページまで変わったり、今後の更新で修正が消えたりするかもしれません。反対に、仕組みが分かれば、必要な範囲だけを直せる場合もあります。

調査の目的は、問題を多く見つけて作業を増やすことではありません。希望する改修に必要な範囲と、今は触らない範囲を分けることです。

表示を見ただけでは分からないことがある

ブラウザに表示されるページは、WordPress 本体、テーマ、プラグイン、データベース、サーバーなどが組み合わさって作られています。

テーマはサイトの見た目やページの組み立て方を担い、プラグインはお問い合わせフォームや予約などの機能を追加します。データベースは、記事や設定などを保存する場所です。さらに、制作時や過去の改修時に、独自のコードが加えられている場合もあります。

そのため、サイトが現在表示されていることだけでは、次のような状態まで判断できません。

  • どのテーマやプラグインが表示と機能を担当しているか
  • 更新すると上書きされる場所へ独自の変更が入っていないか
  • 使われていないように見えるプラグインが、裏側で必要になっていないか
  • 現在の PHP (WordPress の処理をサーバー上で動かすために使われるプログラミング言語) やサーバー環境でのみ動く古いコードが残っていないか
  • 問題が起きたときに使えるバックアップがあるか
  • 調査や改修に必要な権限がそろっているか

WordPress 公式の「サイトヘルス」では、WordPress のバージョン、使用中のテーマやプラグイン、サーバー、データベース、ファイル権限などの情報を確認できます。ただし、サイトヘルスに警告がないことが、独自の仕様やすべての不具合がないことを保証するわけではありません。管理画面の情報、ファイル、実際の動作を組み合わせて確認します。

改修前に確認する9つの項目

調査範囲は、希望する改修とサイトの状態によって変わります。ここでは、既存の WordPress サイトで主な確認対象となる9項目を整理します。

確認項目主に確認すること改修との関係
WordPress 本体バージョン、更新状況、特殊な設定新しいテーマやプラグイン、コードを利用できるか判断する
テーマ使用中のテーマ、子テーマ、独自変更、配布元どこへ修正を加えるか、更新で消えないか判断する
プラグイン使用状況、更新状況、依存関係、ライセンス (利用資格や更新権)停止や更新が機能へ与える影響を考える
追加コード独自プラグイン、テーマ内の処理、外部コード表示だけでは分からない連携や影響範囲を把握する
サーバー契約先、管理権限、容量、設定、ログ作業方法やテスト環境、原因調査の可否を判断する
PHPバージョン、変更可否、既存コードとの相性改修後のコードを動かせるか、先に移行が必要か考える
バックアップ対象、保存先、取得日時、復元方法問題が起きたときに作業前の状態へ戻せるか確認する
権限WordPress、サーバー、ドメイン、外部サービス調査と作業に必要な範囲へアクセスできるか確認する
変更履歴過去の依頼、更新、障害、担当者、資料独自仕様の理由や、触らない方が良い箇所を探る

1. WordPress 本体

最初に、WordPress 本体のバージョンと更新状況を確認します。WordPress 本体は、管理画面、記事の保存、テーマやプラグインを動かすための土台です。

バージョンが古い場合も、調査前にすぐ更新すれば良いとは限りません。公式ドキュメントでも、更新前にバックアップを取ることが案内されています。また、WordPress 本体のファイルを直接変更していると、更新によってその変更が失われる可能性があります。

まず現在のバージョンと更新通知を記録し、テーマやプラグインとの関係、独自変更の有無を調べてから、更新を改修前に行うか、改修と一緒に行うかを考えます。

2. テーマ

テーマは、ページの見た目だけでなく、情報の表示方法や独自機能を担っている場合があります。

確認したいのは、使用中のテーマ名だけではありません。

  • 市販、無料、オリジナルのどの種類か
  • 親テーマと子テーマの構成になっているか
  • テーマファイルへ直接変更が加えられていないか
  • 更新版が提供されているか
  • 更新や利用に必要なライセンスを引き継げるか

子テーマとは、元になる親テーマを直接書き換えずに、変更部分を分けて持つ仕組みです。WordPress の公式 Theme Handbook でも、子テーマを使うことで、親テーマの更新時に独自変更を失わずに済むと説明されています (Child Themes)。

ただし、子テーマが使われていれば必ず安心とは限りません。どのファイルが置き換えられ、何のために変更されたのかまで確認します。

3. プラグイン

プラグインは、WordPress に機能を追加する部品です。お問い合わせフォーム、検索対策、予約、会員管理、バックアップなどに使われます。

有効になっているプラグインだけでなく、停止中のものや、別のプラグインを補助するものも確認します。似た役割のプラグインが複数入っている場合でも、名前だけを見て不要と判断するのは避けたいところです。

主に見るのは、バージョン、更新の有無、配布元、サポート状況、ライセンス、設定、ほかのテーマやプラグインとの関係です。削除や置き換えを提案する場合は、保存されているデータや、停止後の表示まで考える必要があります。

4. 追加コード

WordPress では、テーマの functions.php、独自プラグイン、サーバー上の設定ファイル、管理画面へ入力したコードなど、複数の場所へ処理を追加できます。

追加コードは、画面を見ただけでは存在が分からないことがあります。短いコードでも、投稿の保存、メール送信、外部サービスとの連携などに関係していれば、変更の影響は小さいとは限りません。

調査では、コードが置かれている場所、何を目的にしているか、現在も使われているか、更新時に維持できる形かを確認します。目的が分からないコードを、古そうだからという理由だけで削除することはしません。

5. サーバー

サーバーは、WordPress のファイルやデータベースを置き、訪問者へページを届けるための環境です。

契約しているサーバー会社、管理画面へ入れるか、空き容量、データベース、通信を暗号化する HTTPS の設定、エラーの記録であるログ、本番公開に影響させず変更を試せるテスト環境を用意できるかなどを確認します。

サーバーのログを確認できると、画面には出ていないエラーの手掛かりが得られる場合があります。一方、契約内容や権限によっては確認できない情報もあります。必要な情報へアクセスできないときは、その制約を含めて改修方法を考えます。

6. PHP

PHP は、WordPress の処理をサーバー上で動かすために使われるプログラミング言語です。WordPress 本体、テーマ、プラグインのコードも PHP の影響を受けます。

古い PHP から新しい PHP へ切り替えると、古い書き方のコードがエラーになる場合があります。反対に、古い PHP のままでは、新しいテーマやプラグインを利用できない場合もあります。

そのため、現在の PHP バージョンだけでなく、変更できるバージョン、WordPress 本体、テーマ、プラグイン、追加コードとの組み合わせを確認します。PHP の切り替えは、改修とは別の移行作業として計画した方が良いこともあります。

7. バックアップ

バックアップは、「取得済み」と表示されているだけでは判断できません。

確認したいのは、次のような点です。

  • WordPress のファイルとデータベースの両方が含まれているか
  • いつ取得されたものか
  • どこへ保存されているか
  • 必要な世代が残っているか
  • 誰が復元できるか
  • 復元方法を確認できるか

一般的な WordPress サイトを完全に戻すには、テーマ、プラグイン、画像などを含むファイルと、記事や設定が保存されているデータベースの両方が必要です (Backups)。

調査中に本番サイトを変更しない場合でも、追加調査や実際の改修へ進む前に、戻せる状態を確認します。バックアップが見つからなければ、その取得方法を先に決めます。

8. 権限

WordPress には、管理者、編集者、投稿者など、利用者ごとに操作できる範囲を分ける「権限」があります。記事を編集できても、テーマやプラグインを確認できるとは限りません。単一サイトの標準的な管理者は管理機能へ広くアクセスできますが、独自に権限が変更されている場合もあります。

また、WordPress の管理者権限だけで、すべての調査と改修ができるわけではありません。内容によっては、次の管理情報も必要になります。

  • レンタルサーバーの管理画面
  • ファイルやデータベースへ接続する情報
  • ドメインや、その接続先を決める DNS の管理画面
  • アクセス解析、メール配信、決済などの外部サービス
  • 有料テーマやプラグインの契約情報

最初の問い合わせ時にパスワードを送る必要はありません。まず、どの情報を持っているかを伝え、依頼先と共有方法を決めてから、必要な範囲だけを共有します。

9. 変更履歴

変更履歴は、コード上の記録だけを指すものではありません。過去の見積書、作業報告、メール、仕様書、障害が起きた時期、担当者の引き継ぎメモなども手掛かりになります。

たとえば、標準とは異なる実装が見つかっても、業務上必要な理由があって残されている可能性があります。背景を確認せずに「一般的ではないから直す」と判断すると、必要な機能を失うかもしれません。

資料が残っていない場合は、それ自体を調査結果として扱います。コードや動作から推測できることと、確定できないことを分けて記録し、次の作業範囲を決めます。

調査と改修を分ける場合がある理由

ご相談の段階で、希望する変更箇所と現在の構成が明確であれば、確認と改修をひとつの作業として見積もれる場合もあります。

一方、次のような状態では、先に調査だけを行い、その結果から改修方法と費用を検討する方が現実的です。

  • 他社が制作し、仕様書や変更履歴が残っていない
  • WordPress、テーマ、プラグイン、PHP が長期間更新されていない
  • 独自のテーマやプラグインが使われている
  • 不具合が起きる条件や原因が分からない
  • サーバーや WordPress の権限がそろっているか分からない
  • 直したい箇所が複数あり、どこまで関係しているか不明
  • バックアップや復元方法を確認できていない

この状態で改修費用を確定しようとすると、確認できていない作業を含めて大きめに見積もるか、後から追加作業が必要になる可能性があります。

調査と改修を分けるのは、必ず改修を依頼してもらうためではなく、先に判断材料をそろえるためです。 調査結果を見て、改修を進める、範囲を小さくする、段階的に直す、別の方法を選ぶ、といった判断ができます。

なお、調査中は本番サイトを変更しない方針でも、状況を確認するための一時的な操作や、バックアップ取得などが必要になる場合があります。どこまでを調査に含めるかは、開始前に確認しておくと良いでしょう。

調査後に提示できる選択肢

調査後は、確認できた事実と残っている不明点をもとに、たとえば次のような選択肢を整理できます。

  1. 現在の構成を生かして、必要な箇所だけ修正する
  2. テーマやプラグインを更新してから改修する
  3. 古い機能を別のプラグインや仕組みへ置き換える
  4. 緊急度の高い箇所から段階的に改善する
  5. テーマを作り直す、またはサイト全体をリニューアルする
  6. WordPress を使い続けず、別の仕組みへ移行する
  7. 今は変更せず、資料や権限の整理を先に行う

どの選択肢が合うかは、不具合の有無だけでなく、予算、希望時期、今後の更新方法、サイトで止めたくない機能、社内の運用体制によって変わります。

古いサイトでも、一度に作り直す必要がない場合があります。優先順位を付けて進めたい方は、古い WordPress サイトを段階的に改善する方法も参考にしてください。

調査だけでは確定できないこと

改修前調査を行っても、すべての問題や将来の不具合を発見できるわけではありません。

特に、次のようなことは調査時点で確定できない場合があります。

  • 更新や PHP の変更後にだけ起きる不具合
  • 特定の端末、ブラウザ、入力内容、操作手順でだけ起きる問題
  • 外部サービス側の仕様変更による影響
  • アクセスが集中したときの動作
  • 記録が残っていない過去の変更理由
  • 改修中に初めて分かる、コード同士の複雑な関係
  • 実際のデータを使った送信、予約、購入などの結果

必要に応じて、本番サイトとは別のテスト環境で更新や改修を試し、表示や機能を確認します。それでも、利用者の環境や外部サービスまで含めたすべての条件を再現できるとは限りません。

そのため、調査結果では「確認できたこと」「現時点で考えられること」「実作業で確認すること」を分けておくことが大切です。見積もりでも、確定した作業と、条件によって追加になる可能性がある作業を区別してもらうと判断しやすくなります。

自分で確認できる範囲

専門的なファイルやサーバー設定を開かなくても、サイト所有者が準備できることはあります。

  • ホームページの URL を控える
  • 直したいページと箇所を一覧にする
  • 現在の状態と、希望する状態を分けて書く
  • 不具合がある場合は、発生時期と再現手順を記録する
  • パソコンやスマートフォンのスクリーンショットを残す
  • WordPress へログインできるか確認する
  • サーバー会社と契約名義を確認する
  • 過去の見積書、仕様書、作業報告、メールを探す
  • バックアップに関する通知や契約を探す
  • 問い合わせ、予約、購入など、止めたくない機能を書き出す

ここでは、「探す、見る、記録する」までに留めるのが基本です。状況が分からないまま、WordPress 本体、テーマ、プラグイン、PHP をまとめて更新したり、不要に見えるファイルを削除したりするのは避けましょう。

制作会社と連絡が取れず、契約や管理者も分からない場合は、制作会社と連絡が取れなくなった WordPress サイトで、最初に確認することで、請求書や契約メールから確認する順番を紹介しています。

専門家へ相談した方が良い状態

次のような場合は、自分で設定やファイルを変更する前に、WordPress やサーバーに詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

  • 本番サイトしかなく、止まると業務へ影響する
  • バックアップの対象や復元方法が分からない
  • WordPress またはサーバーの管理権限がない
  • 独自テーマ、独自プラグイン、追加コードがある
  • 長期間更新されておらず、複数の更新通知が残っている
  • PHP の変更を求める通知が出ている
  • エラーが起きる条件を整理できない
  • 予約、決済、会員情報などを扱っている
  • 不審な転送、覚えのないユーザー、改ざんの疑いがある

改ざんや情報漏えいが疑われる場合は、通常の改修相談ではなく、状況の保全や緊急対応が必要になることがあります。契約先のサーバー会社や、セキュリティ対応ができる専門家へ早めに相談してください。

相談前に用意しておきたい情報

すべてそろっていなくても構いません。分かるものだけでも、次の情報があると調査範囲を相談しやすくなります。

  • ホームページの URL
  • 改修したいページと内容
  • 改修の目的と希望時期
  • 現在困っている症状と発生時期
  • WordPress の管理画面へログインできるか
  • レンタルサーバーの契約先と、管理画面へ入れるか
  • 制作会社または過去の担当者
  • 仕様書、見積書、作業報告、操作マニュアルの有無
  • バックアップの有無と、分かれば保存先
  • 問い合わせ、予約、購入など、止めたくない機能

パスワードやクレジットカード情報は、最初の問い合わせフォームへ入力しないでください。調査に必要な情報と共有方法を確認してから渡します。

調査結果を見てから、改修方法を決める

既存の WordPress サイトは、見た目が似ていても、中の構成や管理状況は同じではありません。調査前に「必ず直せる」「この金額で収まる」「作り直すしかない」と断定するのが難しいのは、そのためです。

改修前調査では、WordPress 本体、テーマ、プラグイン、追加コード、サーバー、PHP、バックアップ、権限、変更履歴を確認します。その結果から、今の構成を生かすのか、先に更新や移行を行うのか、範囲を分けて段階的に進めるのかを検討します。

オレインデザインでは、他社が制作した WordPress サイトについても、改修前の状態確認から相談を受け付けています。ただし、最初のご相談だけで改修の可否や費用を確定できない場合は、先に調査範囲と費用をご案内し、調査結果を確認してから改修方法を整理します。

サイトの URL、直したい箇所、現在困っていること、ログイン情報の有無、手元に残っている資料を分かる範囲でまとめて、お問い合わせフォームからご相談ください。改修を急いで始める前に、今のサイトを生かせる範囲と、先に整えた方が良いことを一緒に確認していきます。

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